はじめに
ネットワークの知識を身につけるためには、参考書を読んだり問題集を解いたりするだけではなく、実機を使った検証が非常に重要です。
けれども、実機検証を行うためには機器を調達したり、GNS3といったエミュレータを使うためには高スペックなPCを準備しなければいけなかったりと、多少のハードルがあります。
しかし、Cisco dCloudを使用すれば、Cisco VIRLを無料で使うことができます。そのため、誰でも簡単にネットワーク機器をエミュレートすることができるのです。
今回は、Cisco dCloudを使用した検証環境の構築方法をお伝えします。CCNA、CCNP、CCIEといった資格試験や日々の学習にご活用ください。
Cisco dCloudとは
Cisco dCloudとは、Cisco systemsが提供している「いつでもどこでもインターネット経由で呼び出せるデモ環境及びデモシナリオ」です。
本来はCiscoのパートナー向けに提供されているものですが、パートナー以外でも一部のデモ環境を使用することができます。
今回は、このCisco dCloudの環境構築に使用されているCisco VIRLを活用することで、検証環境を構築していきます。
Cisco.com アカウントの作成
Cisco dCloudを利用するためには、Cisco.com アカウントが必要となります。そのため、まずはコチラからアカウントを作成します。
必要な情報を入力し登録をクリックすると、登録したメールアドレス宛にciscoからメールが届きます。アカウントを有効化をクリックしましょう。
次のページが表示されアカウントの有効化が確認できます。サインインをクリックし、サインインします。
するとプロファイルの管理画面に以降するため、個人タブをクリックし、必要情報を入力し更新します。会社情報は入力必須です。(特に会社への確認などはありません)
Cisco dCloudでデモ環境を予約する
Cisco.comアカウントの作成が完了したらCisco dCloudにアクセスし、デモ環境を予約していきましょう。
Cisco dCloudにはじめてアクセスすると次のような画面が表示されるため、Loginをクリックします。
するとログイン画面に移行するため、先ほど登録したCisco.comのIDとPasswordを入力し、Log inをクリックします。
次に、Cisco dCloudで使用するデータセンターを選択します。日本にお住まいの場合は、APJを選択してください。
ログインが完了すると、このようにメニューが選択可能な画面に切り替わるので、Catalogをクリックします。
すると、用意されたデモ環境やデモシナリオの選択画面に移行します。今回使用するデモは「Charming the Python on Cisco Nexus 7000 Switch v1」のため、「Charming the Python on」と検索します。
「Charming the Python on Cisco Nexus 7000 Switch v1」がヒットしたら、Scheduleをクリックしてデモ環境の予約に進みます。
デモ環境を使用する期間を設定を設定します。Start TimeとEnd Timeを任意の時間に設定したら、Nextをクリックして次に進みます。
予約が完了すると、デモ環境のステータスがScheduledとなります。Scheduledになったことが確認できたら、設定したStart Timeまで待ちましょう。
Start Timeを迎えると、ステータスがStarting…となります。デモ環境が準備されているので、もう少し待ちます。
デモ環境の準備が整うと、ステータスがStarting…からViewに変わります。Viewをクリックし、デモ環境が開けることを確認します。
デモ環境でCisco機器をエミュレートする
デモ環境が開けることが確認できたらWorkstationlockerをクリックし、リモートデスクトップでアクセスします。
すると、Workstationlocker(Windows7)にリモート接続することができます。
Cisco機器のエミュレートには、このWorkstationlockerに展開されているCisco VIRLというエミュレーターを使用します。まずは、デスクトップにあるVM Maestroをダブルクリックし起動します。
VM Maestroが起動すると、次のような画面が表示されます。
既存で設置されているルータやスイッチは使用しないため、各機器を選択しdeleteで消去していきます。
次に、画面右上にあるDesingタブをクリックします。これにより、ルータやスイッチといったネットワーク機器を配置できるようになります。
では、実際にエミュレートするネットワーク機器を配置していきましょう。画面左にあるNotesから設置したい機器をクリックし、画面中央の空白で再度クリックすることでネットワーク機器を配置できます。
今回は、ルータ(IOSv)を2台とスイッチ(IOSvL2)を1台配置します。また、画面左にあるToolsからConnectをクリックし、各機器をケーブルでつなぎます。
エミュレートしたい機器の配置とケーブル接続が完了したら、画面上部にあるスタートボタンをクリックし、機器を起動します。
すると、このようなポップアップが表示されますが、ここはOKで進みます。
このようなポップアップが出力されれば、起動完了の合図です。OKをクリックし、ポップアップを閉じます。
起動が完了したら、Simulationタブから各機器にコンソール接続を行います。iosv-1を右クリックし、TelnetからConsole portへ接続を試みます。
しばらくするとコンソールに応答があり、見慣れたiosのコンソール画面が表示されます。あとは同じ手順で各機器に接続し、自由に機器を設定することが可能です。
さいごに
Cisco dCloudを活用すれば、予約した時間内という縛りはあるものの、自由にCisco機器の検証を行うことができます。
CCNAやCCNP、CCIEの学習にも活用することができるので、Cisco dCloudを活用してネットワークの理解を深めていただければ幸いです。
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Youtube : Free CCNA VIRL Labs!