前回、TCP/IPモデルには
「アプリケーション層」
「トランスポート層」
「インターネット層」
「ネットワークインターフェース層」の4階層があると学びました。

今回はこの4階層に実際にデータが通過していく様子を、全体像として俯瞰します。
本記事は、これから各層を1つずつ詳しく学んでいく前の 「地図」 にあたる回です。
今回は細部の仕組み(IPアドレスの計算方法や、ARPの詳細な動作など)には踏み込まず、あくまで全体の流れを掴むことを目的とします。細部は次回以降、1つずつ丁寧に扱っていきます。
カプセル化(Encapsulation) とは、送信するデータに対して TCP/IP モデルの上位層から下位層へ向かって、各層ごとの制御情報(ヘッダ)を1つずつ付け加えていく処理のことです。
イメージとしては
手紙(アプリケーション層のデータ)を
まず封筒(トランスポート層のヘッダ)に入れ
その封筒をさらに配送用の箱(インターネット層のヘッダ)に入れ
最後に配送業者のラベル(ネットワークインターフェース層のヘッダ)を貼り付けて発送する
という手順に近いものです。各層は、自分より1つ内側の層が用意したもの(データ)に対して、自分の役割分の情報だけを追加していきます。

カプセル化の各段階で、データのまとまりには専用の呼び名(PDU:Protocol Data Unit)が付けられています。

このPDUの名称は、CCNA試験でも「〜層ではパケットと呼ぶ」「〜層ではフレームと呼ぶ」のように頻繁に問われるため、対応関係を押さえておいてください。
PC1からPC2へデータを送信する場合を例に、カプセル化の流れを図で確認します。

このように、下の層に進むごとに外側にヘッダが1枚ずつ追加されていきます。すべてのヘッダが揃って初めて、物理層で実際に信号として送り出せる状態になります。
受信側のPC2では、送信時とは逆の順序で処理が行われます。これを 非カプセル化(Decapsulation) と呼びます。

ここで重要なのは、各層は自分の層のヘッダだけを確認し、それより内側の情報はそのまま上位層に渡している という点です。
たとえば、ネットワークインターフェース層は宛先MACアドレスが自分宛てかどうかだけを判断し、IPヘッダの中身(IPアドレス)までは基本的に関与しません。IPアドレスの判断はあくまでインターネット層の役割です。
このように「自分の層の情報にのみ責任を持ち、他の層の情報には関与しない」という設計思想は、以前学んだ「階層に分けて考える理由」そのものです。この原則を意識しておくと、この後スイッチ・ルータといった機器が「どの層の情報をもとに動いているか」を整理しやすくなります。
ここまでの全体像を踏まえ、この後の連載が、通信全体のどの部分を扱っているのかを整理しておきます。

つまり、これから学ぶ内容はすべて、今回図解した「カプセル化・非カプセル化」のどこか1つの層にフォーカスして深掘りしていくものです。
個別の回で細部を学んでいる最中に「いま自分は全体のどの部分を学んでいるのか」を見失ったときは、この回に戻ってきて全体像を確認してください。
次回はこの全体像のうち インターネット層 にあたる 「IPとサブネッティング」 から、1つずつ詳しく学んでいきます。
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